『殻ノ少女』感想
当ブログでは初のマトモな記事になります。
初の記事がエロゲの感想ってのはなんですが色々と練習も兼ねて。
今回はInnocent Greyのゲーム『殻ノ少女』の感想を書いていきます。と言っても考察とかみたいな大層なことはしていません。
発売が2008年ということで僕がプレイしたエロゲでは最も古い作品ということになりました。
少し余談です。一度近くのエロゲ屋さんで本作品のディスクを購入したのですが、何故か自分のPCではコピーガードの画面でフリーズし、プレイが開始出来ない状態に。店では起動できたとのことで何らかの不具合だと思いますが、13年前のディスクということもあり、不具合だと割り切って大人しくダウンロード版を購入しました。。。。(古い作品はダウンロード版が安心ですね)
所感
ストーリーについては後述しますが…
とにかく分岐が難しい!!!
まあ推理モノなので当然といえば当然なのですが…
捜査パートに移ったときに遺体から見つかる証拠を取り逃したりしてると即バッドエンド確定だったり、フラグがかなり前の行動にあったりとかなり分岐条件が厳しめのようです。自力で終わらせようと思っていたのですが、犯人の決定打になる証拠がどうしても見つからず、そこからは全部攻略サイトに頼りました(笑)
※以下よりネタバレを含みます。気にしない方は構いませんが、完走されていない方はブラウザバックを推奨します。
総評
ストーリー
文句なしの満点でした。全部書いてるとキリがないのでかいつまんで書きます。(プレイしていない方は恐らく分からないと思います)
舞台
今までに舞台がここまで昔の作品はやったことが無かったのですがどストライクでした。現代と隔絶された印象を与えるこの戦後という年代は、一連の事件の異質感を際立せていたように思えます。
三つの事件
本作でメインとなった日下の復讐、間宮心爾の「殻ノ少女」の練習台、そして六識事件…といった一見無関係にも思える三つの猟奇殺人事件。そして中盤で明らかとなる、日下と間宮が西藤環に精神的治療を受けていたという事実。本作ではその具体的な因果関係ははっきりとしていませんが、西藤、もとい六識命が何らか唆したのはほぼ間違いないでしょう。
前者2つの殺害方法がおおよそ四肢切断ということも何か六識の画策なのでしょうか…何にせよ散りばめられた伏線が回収され、三つの事件が繋がっていく様は圧巻でした。
これも余談になりますが、正直言って体験版の時点でグロ描写がエグ過ぎてほぼギブアップでした(笑)特に子宮を抉るシーンがキツかった。子宮に限らず性感帯を抉ったりする描写がホントに苦手なので何度か吐きそうになりました。完走した今となっては多少克服できたように思えますが…
殻ノ少女
本作の鍵となる絵画「殻ノ少女」。作者は間宮心像。
モデルは冬子の母親・中原美砂。この絵に魅了された間宮親子の偏執(パラノイア)から惨劇は始まります。
冬子は言わば美砂のクローンであったので、この「殻ノ少女」は間接的に冬子を描いたものであると言えるのではないでしょうか。まるで自身がモデルとなった絵画を見た冬子は「自分は何者なのか」と錯綜したことでしょう。
しかしながら「殻ノ少女」は実在しており、死蝋化した状態で見つかります。当時、作品への狂気に侵された間宮心像が美砂を殺害し、死蝋化させた。それこそが「殻ノ少女」本体だったのです。狂気的ではあるのですが、どこか神秘的に思えるこの芸術作品。間宮親子が偏執に取り憑かれてしまうのも頷けるような気がしました。
キャラクター
紫が可愛い。。。
大人びているけど変な虫を好んで飼ってたりどこか抜けてるとこがあったり、とにかく紫が可愛かったです。本作では主人公と関わる場面が多いにも関わらず紫だけHシーンがほぼありませんでした(序盤におまけ程度)。
冬子は…何と言いますかキャラクターが最後まで掴めませんでした。自分を探しているということもあり多重人格か何かで、実は一連の事件の犯人は冬子でしたみたいな感じかと思ったのですがそういう訳でも無かったです…ですが「自分を探してほしい」という言葉が単なる身元の捜索依頼だったとは思えません。今作だけでは単なるミステリアスな少女だったなという印象しか受けませんでした。
冬子に関連すると透子ですね。透子は終始玲人に敵意むき出しだったので正直めちゃくちゃ嫌いでした(笑)かといって殺されて良かったなんて決して思ってません。思ってませんから。多分。
他のキャラクターは取り立てて書くことはありませんが、やはり言葉を交わして仲良くなったキャラクターが惨殺されていく様は結構メンタルに来ました。
システム
システム面ですが、お世辞にも良いとは言えないですね。。。
主に気になった点が3点あるので書いていきます。
セーブの数
本作品はセーブが60個しかありません。普通のエロゲなら十分な数なのですが、何しろアホみたいに選択肢が多い上に一つ一つがルートに直結してたりするので、選択肢ごとにセーブするとなると全然足りないのでは…?という印象を受けました。僕は途中から攻略サイトを見てしまったのでセーブ数を節約してギリ足りたという感じでしたが、ノーヒントで全CG回収とかになると確実に骨が折れるでしょう。。
ジャンプ機能の非搭載
古めの作品だとそこまで珍しくはないのでしょうが、バックログからシーンをジャンプすることができません。先述したように選択肢が多いのでジャンプしてシーン回収…としたいところでしたが、不可能なので一々セーブする羽目になりました。
捜査パートの判定
捜査パートで証拠を回収しながら推理パートで犯人を当てていく…という流れの本作ですが、場面によってはクリックの順番を間違えただけで即アウトみたいなのもあります。判定もかなりシビアで、特に間宮心爾の事務所で絵葉書を入手するのはかなり苦労しました。未だにどこに判定があるのかは分かりません…
CG
Innocent Greyの作品はこれが初だったのですが、なんと言うか…独特な感じですね(笑)語彙力が足りない。。。エロゲの中でも珍しい部類ではないでしょうか。
退廃的な雰囲気に合った画風で背景などは美麗でした。
遺体の描写にも目を張るものがありました(特に織姫)
ですがHシーンはかなり苦手な部類でほぼ全部スキップしちゃいました…ごめんなさい>_<
ついでに言うと正直なところ紫は可愛いと思いましたが、他のキャラはCGであまり可愛いとは思いませんでした。その分シナリオに集中できたので良かったといえば良かったかもしれませんが。
音楽
本作のテーマソングである「瑠璃の鳥」。プレイしていない方でも聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。悲壮感漂う曲調はエロゲソングでも珍しい部類だと思います。どの作品でも言えることですが、完走する前と後では同じ曲でも印象がガラリと変わりますよね(?)。実際、この曲も始める前まではそこまで好きではなかったのですが、完走してからは狂ったように鬼リピしてます(笑)
BGMアレンジのほうもかなりお気に入りです。最近完走した作品では『素晴らしき日々~不連続的存在~』の「夜の向日葵」に次いで好きです。
音楽とは話が逸れますが、「殻ノ少女」で描かれた殻から生まれる少女と、この冬子が描いた瑠璃の鳥は、何となく生と死の対比を象徴しているような気がしました。どちらも殻から生まれているという点では生の誕生という意味で変わりは無いのですが…白黒と赤で描かれた「殻ノ少女」はどこか陰鬱的な雰囲気を醸し出しているのに対して、この瑠璃色は「自由な生」が感じられます。冬子が求める本当の「自由」とは何なのでしょうか…。
この「瑠璃の鳥」ですが、調べたところ実際に瑠璃鳥という鳥がいるそうです(オオルリとも)。
まとめ
全体的に言ってかなり人を選ぶ作品だと思いました。グロ多めでゴリゴリのシナリオゲーが好きな方は確実にオススメできる作品です。名作鬱ゲーと呼ばれる所以も分かったような気がします。
井の頭公園や大原美術館など、聖地も割とあるらしいのでいずれ訪れたいですね。
今作だけではまだ理解が及ばない部分も多かったです。虚や天では冬子の「本当の自分」が明らかになることを期待して。